7/8 HiGE 2007 "Bonnie and Clyde"@SENDAI JUNK BOX

「仙台マカナ…ジャンクボックス。」マカナに立った事ないくせに間違え(てみ)た須藤さんも、絶好調に見えたライブでした。ギターの"調子の調子"は相変わらず絶不調だったけれど、ハプニングさえも見せ場にしてしまう彼ら、それさえも楽しさの渦に巻き込んでしまうもんだから、もう大変。仙台は、初めて見るお客さんが多かったのか、腕を上げている人も少なく、自分の周りは押しも控えめ。…だったおかげで、5人が一気に見渡せるステージを前に、自由に踊って最高のライブを楽しめましたよ!地方に行く理由は、もう関東髭ちゃんでは出来そうもない、前で飛びはねたり踊りたい欲を存分に発散するため、そして、狭いステージでしか見られないパフォーマンスを堪能するため。今回も笑っちゃうくらいにやらかしてくれました。

まとまらないので、箇条書きのような。とても長い。

ボニー&クライド・ドーナツに死す、ときて、3曲目の位置がなんだか久しぶりな気がするベートーヴェン、ものすごい格好良い曲に思えた。サビ前のちいさい「ベートヴェン!」から、サビで激しくなる演奏と赤黒い照明にグワーと体温上がってゆく感じ。そういえば髭のステージ照明って赤のイメージ、この曲が最初かも。ブラッディー、ギルティー、わはは!ベスト選曲に腕を上げながら笑っちゃう!アトモスを観ている人はもれなく反応してしまう、幕が上がるようなはじまりの曲気分、MR.アメリカ、楽しい。そして良い新曲たち、血管浮き出そうなシャウトで、3人が陽気にフッフー!コテイスイがジャカジャカジャンケン、チョキ出す率高くない?

MC休憩。フィリポが「1,2,3,4!」とカウントをし始めて、本気で慌てた表情で止める須藤さん。「まだ全然準備が出来ていないよ!」客席と舞台上、爆笑。「そんな次の曲はバラードなんだ……バラード?フィリポが答えてくれるよ」フィリポ「バラード……です。」→やっと正式カウントで、僕についておいで。この曲、須藤さんのカポやチューニングのおかげで、毎回決まってハプニングが起きて、ほんわかムードになるね(笑)そして次の曲は、せってん。ここのミディアムテンポ曲の流れ、すばらしく良かった。

ちらりと見えるコテイスイのバスドラ、ハイジのひげ部分辺りに、節分の豆セットにあるような、鬼のお面がついているのに気付く。両側からワゴムで引っ掛けてあるから、叩くたびにプルプルゆれる鬼さん。そのタイコを叩くコテイスイの表情も負けないくらいグネグネ。時折垣間見れる、ハネるドラマーっぷりが大好き。フィリポは、今日は今までに見たことないくらいに、楽しそうに叩いてる!ブラッディマリーだったかな、サビ中、べぇっと舌を出しながら、こっちも楽しくなるくらいの満面の笑み。

おや、今日はフィリポの所に電子音のパッドが。と思ったらば、だんだんと落ちてゆく照明に妖しげな音で揺らすギター。ツインドラムはヘッドフォン、ベースは背中を向けてフレーズを鳴らしだす。そして、ボーカルはハンドマイク、ニヤリと笑みをひとつ。きたよ、きたきた。「1mg」
さて、突然の宣言ですが、須藤寿には、ただのロックスターにはなってほしくないのだ。サングラスをかけて、台本のような台詞をすらすら喋って、カッコヨク歌う、最近フェスで良くやってるテンプレボーカリスト風モードはどうも気に食わない。でもこの曲が始まると別。「ストーのおつむは、本当に本当に1mgなんだ!」眉をひそめて、片手を上げながら高らかに。ハンドマイクで、モニターをぴょんぴょんと、星がキラーっと見えるようなジャンプで移動して、わざわざ下手側のモニタースピーカーに登って、なぜかコソコソ顔を出したりひっこめて唄ってみたり、スピーカーに座って下界を見下ろす風を気取ってみたり、両手を頭に当てて悩ましげなポーズでくねくねしてみたり、おもわずうひゃっと笑ってしまうようなアクション。これこそ!って思うんです。ステージを見ているだけで最高に楽しいし、嬉しくなる。
それから、タオルをコソドロ巻きにして、フィリポのバスドラに立って突然「僕はなんだって出来るんだ!」と、宮川さんを指差しにやにやしながら連呼し始めたのが、面白かったなあ。俯いて演奏しているからなかなか気がつかない宮川さんに、何度もアピール。やっと気がついて「分かったよ……」と苦笑いしながら頷く宮川さん、ニヤニヤ須藤さん。…アトモスが始まってから、どうも須藤さんの宮川さんいじり、ライブでも見られるようになってきた気がする(笑)そんなこんなでさんざん飛び回った須藤さんが、定位置でギターを抱えた途端、なだれ込んでくる髭の音がまたたまらないのだ。髭ライブで一番好きなのは、こういう唄のない5人の本気演奏部分だと思ってしまう、この曲(だとか、ハートに火をつけてだとか)を聴くと。目を瞑ると、アルコールも入っていないのに酔っているようにぐらぐらする。

「王様はロバの言うとおり」の演奏が大好き。間奏のツインドラムのチャカポコかけあいに、最後の1分の宮川さんと斎藤さんの壊れっぷりを見て、さらにテンションが上がる。さあこれ以上テンション上げすぎてどうしましょう。

最後の2曲は、須藤ギター調子が悪いようで。サブギターの登場、赤いSG。たしか少し前は、サブがクリーム色のストラトだった記憶があるので、ライブハウスの機材でしょうか。MCがほとんど聞き取れなかったんだけど「このSGモドキでさ」って言っていたとおり、やたらキラキラしていた。初めて見る須藤さんのSG姿に激しく違和感を覚える(笑)

ダーティでは、宮川さん。いつものteaステップが見られるところで、ストラップが外れてしまう。どうするかと思えば、床に座り込んでベースを立て演奏、器用にスライド。進むにつれて、片膝をついたり、フィリポの方を向きバスドラに片足を乗せ支えて弾くかたちに。最後は、客席にベースを「支えていて」というように渡し、柵に乗り出し立って演奏!ハプニングも、見せ場にするようになってしまって、何だかえらく格好良い。しかしその右側では、斎藤さんが天井を突き破るんじゃないかと思うくらい、ただただビョーン!ビョーン!とリズム総無視で無表情垂直飛びで演奏していて爆笑。彼の動きは予測不可能。そしいて、囚人でシメ。いいな、最後にきついタテノリが嬉しい。

ECで出てきて「A-ha」テンション上がる上がる!「大好きです」とは、このときに言っていたかな?
白薔薇、須藤さんが客席に身を乗り出し、ガシッと手を掴んだ男性を引っ張って、ステージに上げるパフォーマンス。目を真ん丸くして驚く宮川さんと、笑顔の斉藤さん。この様子を見ると、「打ち合わせはしてない、その時の気分」って本当なんだねえ、なんて思いながらステージに釘付けになってしまう。その彼にギターを渡し、耳打ちでコードを教えて、須藤抜きの髭演奏隊が進む。そんな中彼は客席にダイブですよ。泳いで埋もれて一通りぐしゃぐしゃになって戻ってきたあと、フィリポドラムの目の前に飛んでいく。笑顔。すると、くるくると、また星が見えそうなステップでくるくる、っと何度も回って、陽気にステップを踏み楽しそうに踊りはじめた須藤さん!こんなのはじめて見る光景だよ!それを見て、本当に楽しそうにあははって笑いながら、今日一番の笑顔で叩くフィリポ、コテイスイとアイコンタクトを取って、そのサイドでは、ベースとギター2人が囲んで演奏。盛り上がってゆくステージ。髭の得意技、即興演奏、どんなに遊んでるように見せても何であんなにキッチリ音が鳴るかな、また最高に格好よくてずるいねえ…。アトモスのレコーディングの時のような、自由で楽しそうな5人のその様子が、なんかもう可愛くて楽しそうで、見ているこっちも幸せになってしまったよ。

前へ行くと、演奏面では決まってリズム隊中心に目も耳もいってしまうのだけれど、フィリポと宮川さんの意思疎通、アイコンタクトが、とても多くなったなあと思う。ギター隊の位置が逆だった頃は、もっとベースが自由に動いて演奏していたり、斎藤さんとかけあったりしていた記憶。あの激しさが見られなくなったのは、寂しいなあと感じていたんだけど、リズム隊としての演奏の土台が、どんどんしっかりしてゆくさまが感じ取れた今日、凄く良かったです。