4/1 髭(HiGE)@三軒茶屋HEAVEN'S DOOR

「もーど。ちゃん髭ですよ」

アメニウタエバ / 化けの皮はがしましょう/ 2人はブルージーンズ / 溺れる猿は藁をもつかむ
無題 / A-ha / ロックンロールと五人の囚人 /白い薔薇が白い薔薇であるように
僕についておいで / ココロとカラダ、日曜日 / 首謀者に告ぐ / 黒にそめろ /ダーティーな世界
髭曲第13番ニ長調 /下衆爆弾

EC:右脳の片隅にて / ギルティーは罪な奴 / (やっちった音頭)
リクエスト:寄生虫×ベイビー×ゴー!

「今日はカオスインアップルの、アフターパーティだよ」と、須藤さん。そのパーティを誰よりも楽しんでいたのは、髭ちゃん自身のように思えた。"自分達が一番楽しい音しか出さないけど、ついてこれるやつだけ、僕らについておいでよ?"って、したり顔で言われているような、あの時の音の空間がそのまま戻っていたようなライブでした。本当に良かった…!

ラクルズのSEが流れて、フロア左端に作られた狭い通路から窮屈に5人が並んで登場する。楽器を構えて1音目で一気に高揚する感じまで、自分の予想をはるかに超えた嬉しさで笑えてしょうがなかった。これだよ、待ってた髭ちゃんは。音を合わせた瞬間に斉藤さんが、真顔で天井突き抜けそうな垂直飛びから、ぐわっと笑顔を見せる。宮川さんやフィリポに向かって笑いかけたり頻繁にニヤニヤ(という単語が似合うのだ、演奏中のUKったら)して初っ端からとても嬉しそうなお姿が良い良い。もちろんこの曲じゃないとはじまらない、アメニウタエバのブレイクで、久しぶりの須藤さんの「もーど!」に、フロアから大きな歓声が上がる。続く化けの皮はがしましょう〜二人はブルージーンズも、待ってました!とばかりに手を挙げて踊る踊る、踊らされるよ!わたしは、ブルージーンズの、スキャット〜クレッシェンドしていく部分〜間奏〜後奏部分が、ライブだとはっきりと音に表情がついているのが好きで好きで、ライブで聴いてこそな曲だと思っていたので、それはもう惜しみなく味わいましたよ!たまりません。カラフルでサイケデリックな髭のステージがどんどん見えてくるのが嬉しいよー!


開演前から気になっていた、須藤さんのマイクスタンドの隣に用意されたCDJ。これはもしかして… と思ったらばやっぱり、そこから聞こえてきたのは淡々とした斉藤さんの声。反射的に目を閉じて耳をすます、トクベツな日の曲。妙に絵になる、ギターを背中に回した姿で、CDJのボタンを押したりツマミを上下して朗読音源をグルグル操る須藤さん。その後ろでは4人がドロドロした演奏で異様な空間を作っている……ああもう これは完全に5人とも"好き勝手にスイッチ入って自分の世界で鳴らしてるモード" 入りましたー。ぎゃー、最高。片耳だけに髪をかけて、目を瞑って静かに「ハレルヤ」って唄う須藤さんの姿が、過去の姿と重なって、音に揺られながらまるでタイムスリップしたような不思議な気持ちになる。最後に、須藤さんがフィリポに目配せしてから、斉藤さんや宮川さんに指図すると、目の前から押し寄せてくる音の波。好き勝手演奏した後に、息合わせて一つになる爆音の瞬間が大好き。「無題」総タイム、およそ8分強の世界。ごちそうさまでした。続くA-haも、間奏がもはやセッションと化す。音のカオスを繰り広げる髭ちゃんはどんどん続きますよ。


どのタイミングだったか、突然「エーックス!!」と眉間にしわ寄せて叫んだ須藤さんが、このステージではシュールすぎて可笑しかったです。そういえば、ギターマガジンで斉藤さんが「邦楽だとX・hideちゃんギターの真似をするほど熱かった」と発言していたのを思い出したけど、このタイミングだからもしかして5人でドームに行ったのだろうかなどと余計なことを考える(笑)その他に、須藤さんの素っ頓狂なパフォーマンスは少なかったような気がするけれど、黒ガムテープで自分の目〜頭をぐるぐる巻きに2周して「これで唄うよ!」なんてやらかしていましたよ。ぐるぐる巻きのその姿のままマイクに近づくのだけども、当然視界不良だから最初に顔がマイクの横をかすって空を切ってしまう。すぐに顔はマイク正面にたどり着くんだけど、その須藤さんの様子を後ろでばっちり見ていたコテイスイが腹抱えて爆笑していたのも目撃してしまったよ、素敵な光景だ(笑)そうそう、コテイスイも、いつものようなパフォーマンスをせず、定位置で手を振るだけだったり、完全にサポートに徹して他4人を立てているように見えたなあ。なんかそれがすごくよかった。


昔の曲を、と僕についておいでココロとカラダ、日曜日。しばし聴き入ったあと、イントロのアルペジオで歓声が上がった、首謀者に告ぐ。須藤さんが可愛らしいアクションつきでクネクネ唄った後、声を張り上げて・バックの演奏のボリューム最高まで上げてサビに入る高揚感ったらないよ!真夏の夜のコーヒーを唱えろ。この曲は無意識に首を振ってしまうなあ。顔を上げてふとフィリポに視線をやると、歌詞をを口ずさみながら凄く楽しそうな表情が見えた。しあわせ。


「1番、ヒゲー、黒にそめろー」という愉快なMCで入った黒にそめろ、「門限があるから」とシンプルイズベストなダーティーな世界が嬉しい。ここでいつもならステージ見ずにひたすら踊ってしまうんだけど、今日はいつもよりさらに高く飛び跳ねておりますな宮川さんに釘付けになってしまったよ。本当に、いつ振りだろうこんなに無心に動いて暴れて演奏している姿、と思ってびっくりした。最近は帽子を脱ぐタイミングでさえパターン化しているけども(笑)最初から帽子を外して、完全に客席など見ずに演奏に没頭していたのがとても格好良かった。本当にインディーズ時代音源の髭ちゃんこそ宮っteaのベースラインの魅力が存分に発揮されていますよね!特に髭曲のやばさったら!!スライドしすぎなくらいがteaベースの魅力!!!と思わずレポ書き中に興奮するくらいテンションが上がってしまいマシタ。


今日の自分内ハイライトは右脳の片隅にて。「髭の鬣」の最終回 下北沢シェルター公演で 「特にこの曲を演奏すると、当時を思い出す。」という話が印象に残っていたんだけど、今回もきっとそうだったんじゃないかと思う。後奏で、宮川さんとフィリポが向かい合い、満面の笑みで楽しそうに音を合わせていて、そこに斉藤さんが後ろを振り向いてにっこり笑ってギターを鳴らして、そこに須藤さんが勢い良く近寄ってドラム台に乗ってフィリポにニヤリ。フィリポも見上げて笑顔でリズムを合わせて、それを見てコテイスイが加わって5人が音をぐわんぐわん鳴らす。それがここ1年じゃ絶対に見られないような、あまりにも、あまりにも楽しそうな5人の姿で、"5人で音を鳴らすのがひたすらに楽しい"って初期衝動を、髭ちゃんたち自身が思い出していたんだろうなって伝わってくるほどの演奏でした。ずっと髭の音に浸っていたい、この空間から抜け出したくない!っていう感覚をざぶざぶ思い出してしまった。音もライブハウス中にぐるんぐるん回って、嬉しさとか懐かしさとか色んなものが混ざって、泣く曲でもないのに涙が出てきてしまったよ。素晴らしかったです。


ギルティーは罪な奴の最後では、コテイスイが「やっちった〜やっちった〜♪」と、もはやおなじみやっちった音頭を唄いだす。須藤さんから「今日はこの曲をやる為にここに集まったんだよ!」と衝撃の告白を聞かされる。爆笑。そして "自分自身の事を唄っているはずなのに、曲が一人歩きしていてどういうリアクションをとっていいかわからなくなっちゃってる" ような宮川さんのなんとも言えない表情も忘れられません(笑)須藤さんが「ヤッチッたよ!ヤッチッたよ!」と叫び、コテイスイが「やっちった〜やっちった〜 三軒茶屋で やっちった〜♪」とコーラス、バックの変なフレーズの演奏も合わさって、曲として成り立っている事に再度爆笑。はあ。面白すぎます。


そしてトドメに、髭曲第13番ニ長調。そこで上昇しまくったテンションにさらに、下衆爆弾。もう、フロアがね、あのタンタンタンッタッタンのドラムとね、斉藤さんがギター構えてキメコーラスでドリンドリー言い始めたとたんね、なんか、おかしかったね!客全員が!この曲自体も相当狂っていますが、髭の縦ノリモッシュ以外で、あんなに必死に踊り狂う姿がここ最近であったでしょうか。zeppで「下衆爆弾やろうか?」と軽〜く言った須藤さんにまんまと騙された分を取り返すかのように、客全員の目がカッと開いて「やっときたなゲスゲスゲスゲスゲス!!!(※曲名です)」っていう叫びが聞こえた気がしたわ!自分も含めて、もうねー、訳わかんないくらい踊って最高でした!!


最後は、須藤さんの「もう1曲やろうか、何がいい?」でリクエストタイム。ぴったりだと思ったのに、クリスマスライブに続いてなぜかAcousticは却下されて、過去にあれだけ演奏されていたのに何か理由があるのかしら?と気になりつつ。その後も色んな曲のリクエストの声に収拾つかず、最終的にフィリポの「寄生虫がいいね〜」のひとことで寄生虫×ベイビー×ゴー!に。予定になかった1曲を聞けただけで満足。メンバーが退場しても鳴り止まない拍手、「本日の公演は終了しました!」の声の後も、会場にはありがとうの拍手が続いていていました。三軒茶屋ヘブンズドアは、彼らにとってずっと 特別な場所であり、戻ってくる場所なんだなあ と、今日のライブをかみしめながらじんわりと思いました。

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それから、4日に更新された豆煮、おそらく今までではじめて宮川さんがライブの感想を書いていて、そこにある「最高」という文字を見て改めて ああ本当に良かったなあ とまた思うのでした。